
食 事 術 の 基 本
アーユルヴェーダでは、万物がドーシャで分類できることから、食品もまたドーシャで分類ができます。
食品のドーシャは、その味と密接な関係があります。
アーユルヴェーダでは、味には甘味、酸味、塩味、苦味、辛味、渋味の6つがあると考えられています。
ヴァータの性質を有する食品は、主に苦味を有し、ヴァータを増やしピッタとカファを減らします。
ピッタの性質を有する食品は、主に酸味を有し、ピッタを増やしカファとヴァータを減らします。
カファの性質を有する食品は、主に甘味を有し、カファを増やしヴァータとピッタを減らします。
6種類の味が、各ドーシャに与える影響は下図のとおりです。
(出典:大いなる生命額:青山圭秀著、三五館)
食品は、まず口に入れた時に舌で味を感じます。
これが、一般的に言う味であり、「ラサ」と呼ばれる効力を有します。
アーユルヴェーダでは、これ以外にもう1つの味の存在があります。
それは、食品が胃腸で消化された後に感じる味で、「ヴィバーカ(消化後の味)」と呼ばれます。確かに食品を食べて暫くした時に身体で感じる感覚(味)がありますね。
これは、酸味、甘味、辛味に3種類に分か、ドーシャに対して上述同様の効力を有し、以下のような効果を著します。
酸味は、組織を燃焼させます。
甘味は、組織を充実させエネルギーを生み出します。
辛味は、組織を乾燥させます。
アーユルヴェーダでは、食品の効力においてもう1つだけ重要視すものがあります。
その効力は、食品が消化される際に身体を「温める」か「冷ます」かに分かれ、「ヴィーリヤ(温冷効果)」と呼ばれます。
ただし、同じドーシャでも温冷効果が異なることがありますので、注意が必要です。
下表に、味と温冷効果の関係と消化後の味との関係を示します。
上述のように温冷効果には、いくつか例外がありますが、その一部を例示しました。
「アーユルヴェーダのコンテンツ」でお話しましたが、
病気や不調は、「自身のドーシャ(四体質)の傾向性が過度になること」によって起こります。
よってアーユルヴェーダでは、自身のドーシャが極端に増大することがないように、6つの味を満遍なく食べることが推奨されています。
もう少し詳しく表現すると、「自身のドーシャと同じドーシャの食品を過食せずに少なめにし、自身のドーシャを減らす味の食材を多めに食べること」と言うことができます。
さらに自身の寒熱体質と逆の温冷効果を有する食品を多めに摂ることによって、自身の身体が熱くなりすぎたり、冷たくなりすぎないようにすることが大切です。
これが、「食事術の基本」となります。
ドーシャ(四体質)ごとの「食事術の基本」を、以下にまとめてみます。
ヴァータの陽性の方は、ヴァータでも特に身体を温める食品を少なめにし、身体を冷ますカファを多めに摂ること大切です。
ヴァータの陰性の方は、ヴァータでも特に身体を冷やす食品を少なめにし、身体を温めるピッタを多めに摂ること大切です。
ピッタの方は、ピッタの食品を少なめにし、身体を冷ますカファやヴァータでも身体を冷やす食品を多めに摂ること大切です。
カファの方は、カファの食品を少なめにし、身体を温めるピッタやヴァータでも身体を温める食品を多めに摂ること大切です。
以上のように、
基本的には、自身のドーシャ(体質)に適したドーシャの性質を有する食品で、しかも自身の寒熱体質にも適した温冷効果を有する食品を多めにとることが重要です。
しかしながら、実際には「味だけで」、食品のドーシャや温冷効果を判断するが難しい場合も多々ありますので、主な食材の性質を以下に示します。
穀物は、全てがカファの性質を有します。
お米は身体を若干温め、小麦は身体を若干冷やします。
果物は、全てがカファの性質を有します。
身体を温めるものと冷やすものに分かれます。
お肉は、全てがカファの性質を有しますが、身体を温めます。
お魚は、全てがカファの性質を有しますが、身体を温めます。
豆類は、ほぼ全てヴァータの性質を有します。
小豆は身体を若干温めますが、大豆は身体を若干冷やします。
種子は、全てがカファの性質を有しますが、身体を温めます。
キノコは、全てがカファの性質を有しますが、身体を温めます。
乳製品は、ほぼ全てがカファの性質を有します。
チーズやバターは身体を温め、牛乳は身体を冷やします。
野菜やスパイスは、種類により様々なドーシャの性質を有します。
温冷に関しても様々です。
海藻類は、全てがヴァータの性質を有します。
身体を温めるものと冷やすものに分かれます。
油類は、ほぼ全てがカファの性質を有しますが、身体を温めます。
塩は、ピッタの性質を有します。
塩は身体を温めますが、岩塩は身体を冷やします。
酢は、ピッタの性質を有しますが、身体を冷やします。
砂糖は、カファの性質を有し、身体を冷やします。
蜂蜜は、例外で、ヴァータの性質を有し身体を温めます。
酒類は、ピッタの性質を有します。
身体を温めるものと冷やすものに分かれます。
コーヒーは、カファの性質を有し、身体を冷やします。
紅茶は、カファの性質を有しますが、身体を温めます。
日本茶は、カファの性質を有しますが、身体を温めます。
正しい食事術とは、上述の食品の性質を参考に、食事の基本を重要視して食品を選択することです。
ただし、エネルギーを生み出すカファ性の食品は、主食と呼ばれ、相対的に多く取ることになるでしょう。
ですから、カファ体質の人はもともと体力があり、カファ性の主食をそれほど多く食べなくても良いようになっているようです。
あとは、国や地域によって伝統的に食べられた来た食品は、消化の酵素や腸内細菌がそれに適応したものとなっているでしょうから、それらも考慮して食品を選択して摂ることも重要です。

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